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そうだ、みんなで選挙行こう!

2020年9月20日に、座間市議会議員と市長の選挙が行われました。

そして2022年7月10日に参議院選挙が行われます。

 

しかし、前回の市議会議員選挙の投票率は、約40パーセント…。

投票所になかなか足を運べない人が半数以上もいるのです。

 

政治って、私たちの暮らしにどう関わっているの?

選挙って、行った方がいいことはわかってる。でも、誰に、どこの政党に投票したらいいのかわらかない。

日々目の前のことに忙しくて、正直あまり考えられない。

実際のところ、自分の1票くらいじゃ、何も変わらないんじゃないか―――。

そんな風に思っているママ&パパも多いのではないでしょうか。

 

これらの疑問について、

「子どもの自己肯定感を高めよう」を目標に据え、子育て世代と政治をつなぐ活動も行っている“NPO法人DAKKO”の高橋理事をお招きして、オンライン座談会を行いました。

高橋一之さん

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科を卒業。現在、子育て世代と政治をつなぐ活動をしている“NPO法人DAKKO”の理事として活躍中。寒川町在住。

 

 

~ ZamaKOPメンバー ~

 

熊切博美 

子育てと仕事と、“座間子育て応援プロジェクト!”の運営活動に奮闘中。2児の母。

 

矢野梢  

座間市で不登校児の支援や放課後の居場所兼塾を展開している“ NPO団体IDEA”代表。4児の母。

IDEAコミュニテースクール http://idea-edu.net

 

小澤ゆり         

子育て応援ボランティア歴11年。ママ&パパと子どもたちへの寄り添いに邁進中。2児の母。

そもそも、選挙は私たちの暮らしに、どう関わりがあるの?

熊切:早速ですが、選挙は私たちの暮らしにどのように関わりがあるのかについて、教えてください。

高橋:まずは、資料①*をご覧ください。去年、参議院選挙に行った人を年齢別で出したグラフですが、高齢になるほど多くの人が投票に行っているのがわかると思います。

 

 

*資料①

資料① 年齢別選挙参加率

 

 

高橋:次に、資料②*をご覧ください。投票するにあたって年代別に考慮した問題の割合なのですが、子育て中の人が多い30~40代は教育や子育て関係に興味を持つ人が一番多く、60代以降になると、医療保険や介護、年金などに興味を持つ人が多いですね。

このように、自分の暮らしに直結した内容に興味があるのは当然です。

ここからわかることは、選挙に行った人の意見ほど政治に反映されやすいということなんです。議員さんも、票をたくさん入れてくれた世代の願いを実現したいと思うので、高齢者向けの政策実現が多くなってくるわけですね。

 

 

*資料②

資料② 年齢別考慮した問題

 

 

熊切:選挙に行くことによって、暮らしに反映されていくんですね。でも、(このグラフを見ると)子育て世代の30~40代はまだまだ少ないですね。

高橋:そうですね。そこで、当団体では「選挙に行きましょう」ではなく、「自分たちが置かれている現状を考えよう」という話をしています。住んでいる市町村で不便に思うことを書き出して、市政に興味を持ってもらうことから始めています。

候補者を選ぶポイントは?

小澤:候補者は政策や目標を掲げていますが、それぞれ子育て世代から高齢者まで必要なことが網羅されていて、違いが分かりづらいです。どんな人を選んだらいいのでしょう?

高橋:注目してほしいポイントが二つあります。一つは、候補者の人柄です。街頭演説を聞いてみたり、選挙事務所に出向いて話してみたり、候補者の方にメールを送ってみたり。その回答や対応の仕方によって、人柄を知ることができます。もう一つは、とにかく比較してみること。候補者自身のリーフレットの他、投票日が近くなると挙広報や市のホームページなどに候補者一覧や政策が掲載されますから、その内容を読んでみてください。さらに、座間市だけでなく、他の地域の候補者とも比べてみたら、座間ってここが足りないんじゃないかな…など気が付くと思います。

熊切:なるほど…当たり前のようで、なかなか気づきにくい所ですね。街頭演説は、人柄を見るためにも必要なことなんですね。

高橋:特に都市部以外では、街頭演説を聞いている人は少ないと思います。候補者からすると、聞いてくれている人たちが印象に残ると思うんですね。

小澤:たとえば、医療費について考えてくれている人…とかでもいいんですか?神奈川県内のいくつかの市では、医療費が所得税無制限で中学3年生まで無料で診てもらえるんですが、座間市は所得制限があるんです。

高橋他市との具体的な比較は、いいポイントだと思いますよ。座間って他市と違うの?遅れているの?というところを変えるのに役立ちますよね。大抵は自分の思いだけで考えがちですが、客観的な見方をすることも大事だと思います。

忙しい中選挙に行っても、

自分の1票くらいじゃ変わらないのでは?

矢野:普段接する中高生や保護者さん達から、「1票くらいで何が変わるんでしょう?」という声を聞きます。そのような思いが、投票率の低下につながっていると思うのですが…。

高橋:国政と違って、座間のような地域の選挙は政治色の強いものではありません。たとえば「公園の遊具を修理してほしい」など、自分の生活に密着した内容につながっているんです。国だと大きな団体の組織票とかメディアの状況によって変わってきますが、地方の選挙はまさに1票で変わってくるんです。つまり、誰かの1票が重要になってきます

矢野:選挙権の大切さや1票の重みについて、どういう風に伝えていったらいいでしょうか。

高橋:去年、とある地方の高校で、議員さんと高校生が話し合うイベントを開催しました。その高校の前に車がたくさん通る道があって、通学の時危ないから横断歩道を設置してほしいという意見が出ました。それを聞いた議員さんが、「それは必要だ。今度議会で話してみる」と。で、実際に横断歩道が設置されたんです。「自分の意見が世の中で形になっていくんだな、それなら次はこういうことも話してみよう」という行動につながる…といういい例ですね。このように、自分の行動が政治にどれだけ影響を与えることができるかについての認識を、専門用語で“政治的有効性感覚”というんですが、この政治的有効性感覚を高めることこそが、1票の重みの大切さへの認識につながると思います。

親子で気づいたことを話し合ってみよう!

熊切:選挙について、子どもが小さいうちから家庭で話し合えることはありますか?

高橋たとえば、先ほどの横断歩道の話のように、身近にある困りごとについて親御さんから話してみるのもいいと思います。 また、選挙期間中ならば「帰り際にこんな演説をしていたよ」といったことも材料になると思います。

小澤普段から、気になっていることを話し合えばいいんですか

高橋:それでいいと思います。変に「財政が…」とかじゃなくて(笑)。小さいお子さんにとって分かりやすい例で言えば、「公園に日影がなくて暑いよね」とかでもいいと思いますよ。まずは、改善したいことについて気づく感覚を養ってあげてください。

投票するなら、“未来志向”でいこう!

小澤:選挙で投票するにあたって、子育て中の今を良くする内容だけでいいのか、もっと先のことを考えた方がいいのか、悩みます。

高橋:今のことももちろんですが、考えてもらいたいのは、もっと未来のこと。どの市も人口が減り、財源が減り…で、市の事業として始めたいことがあってもできないということが増えてくると考えられます。そういう事態を防ぐためにも、先を見据えた政策に1票投じるのも手だと思いすね。

矢野:自分の子ども、その先の子どもなど、自分が生きていないところまで未来が続いていくと思いますが、今はコロナ禍で給付金が出ていますよね。その元は税金なので、ありがたいけど子どもの代まで税金が上がり続けるのではないか…と不安です。「給付金を出す」という政策の候補者に票は安易に流れそうですが、実際のところどう考えたらいいでしょうか。

高橋:日々の生活も、お子さんが生きていく未来も、どちらも大事ですよね。未来志向で考えると、選挙は1回だけじゃない。むしろ選挙が終わった後に行政に声を届けることもしていくべきです。

熊切:未来志向をベースに投票し、選挙以降も議員さんを通じて気づきを発信していけばいいんですね!

高橋:そうですね。試験問題と違って、正解がない。だからこそ、間違った人を選んだと思ったら修正していけばいいんです。どうか難しく考えずに、まずは選挙に行ってみてください。

――― 高橋さん、貴重なお話をありがとうございました。

 

 

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候補者を選ぶ際のポイントや、一人ひとりが市での困りごとに気づくことが大切…という根本的なお話まで、

私たちZamaKOPのメンバーも学ぶところの多い1時間でした。

今現在のことだけではなく、未来のことも考えて投票できるのは、子育て中の私たちだからこそできることではないでしょうか。

 

「そうだ、みんなで選挙行こう!!!」

【出典】

資料①、②

公益財団法人明るい選挙推進協会『第 25 回参議院議員通常選挙全国意識調査』2020年3月 

http://www.akaruisenkyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2011/07/25san_rep.pdf

☆☆☆  この記事を書いた人 ☆☆☆

 

小澤ゆり

 

コピーライター、フリーライター、インタビュアーなどの仕事をしながら、子育て応援ボランティアとして活動。

 子育てサロンや子育て支援施設、プライベートなどで、ママやパパ、子どもたちからの悩みを聞くうちに、「もっと親子の力になりたい」と強く思い、チャイルドカウンセラー資格と家族療法カウンセラー資格を取得。

 インタビュアーとして培ってきた「その人らしさを引き出す」スキルと、多くの親子のお話しを伺ってきた「傾聴」実践を生かしつつ、相談者さん自身の気づきを促し、気持ちが明るくなるようなカウンセリングを心がけている。

 

mail : shang81lily55@yahoo.co.jp